三月場所
三月二十二日
ドス恋! くぼうちでごわす! ここのサイトもすっかり閉鎖ムードが漂っていたのでごわすが、ちっともそんなことはないのでごわすよ! というかまだやってんのかとか思ったな! あ? テメエだテメエ! おいどんは人の気持ちがわかるのでごわすよ! そういうのはわかるんだコラ! コラ! コラー!!
あ、ウソ、ウソでごわすよ。今日もアクセスありがとうでごわす。おいどんはそんなアナタが好きなのでごわす。ラブなのでごわす。ムチュっとブチュとキッチュしたいのでごわす。ほら、目を閉じて! 恥ずかしがらないでいいでごわすからサ! そう、そうだよ。じゃあ、いくでごわすよ。むむー…。
そ、そ、それから、親方が行方不明なのでごわす! 親方が正月以来ちっとも姿を現してくれないのでごわす! これではちっともおいどんのサイトが向上していかないのでごわす。おいどんは随分長い間親方を待っていたのでごわすが、それでも親方は来なかったのでごわす。仕方ないので、最近になって新しい親方というか、モテるウェブを教えますというメールが来るようになったのでちょっとそのメールの差出人と会う約束になったのでごわす。
そのかたは斉藤さんといって、斉藤さんもまた、テキストサイトのなかでは一時代を気づいた人だったのでごわす。そうメールに書いてあったのでごわす。たぶんハンドルネームを聞けばわかると思うのでごわすが、それはなかなか教えてくれないのでごわした。斉藤さん、今日はよろしくなのでごわす。
「ああ、大手サイトって? よく言われましたよぉ。まあIPで500くらい? それくらいは来させましたね。でもそんなの大したことないですって。くぼうち様もすぐになれますよ」
「そ、そうなのでごわすか!」
「あ、まあなんといいましょうかね? 加速度的にモテるといいますか。倍アクセス稼げば四倍モテるってのかな?そんな感じなんですよ。オフ会とかもうみんな私の取り合い状態…(笑)」
「う、羨ましいでごわす…」
「まあ、くぼうち様にもそういうオイシイ思いをしていただきたくてですね、メールを差し上げた次第なんですよ。」
「かたじけないでごわす…」
斉藤さんはアタッシュケースからパンフレットを数部取り出したのでごわす。テーブルの前にそれらを広げ、話し始めたのでごわす。
「で、私どものサービスなのですが、初級コースからSコースまでの五段階制になっておりまして、くぼうち様は初級コースのお見積もりということでいらっしゃいましたね?」
「そ、そうでごわす! 一ヶ月三千円で学べるとか言うのでごわす!」
「ところがこの初級コースなのですが、カリキュラムがくぼうち様の求めるものとはいささか食い違いがございまして。ここのコースではインターネット概要を学んでいただきます。ここではそもそもアメリカで軍事目的として利用されていたARPANETの時代から我々が享受出来るようになるまでの歴史について、なのですが、くぼうち様はこのようなコースをお求めでいらっしゃいますか?」
「い、いや違うでごわす。モテたいのでごわす! モテモテコースがいいのでごわす!」
「さすがはくぼうち様、目の付け所が他人様とは全く違います。そうおっしゃるだろうと思いまして、くぼうち様にとっておきのコースをご用意させていただきました。その名も『インターネット第三世代コース』(fromゲニロキ)」
「だ、第三世代?!」
「まあ小難しい言葉で申し訳ないのですが、そうですね。いわば株式投資のようなものだとお考えください。アクセスがアクセスを生む。サイトを作れば作るほどアクセスを増やす。パイの取り合いではなく、相乗効果なのです。アクセスが増えれば、比例して女子のアクセスも増えるということなのです」
「つ、つまりそれはモテるのでごわすか! ファックできるのでごわすか!」
斉藤さんは苦笑いしながら言ったのでごわした。
「はははは…ダイレクトに聞きますね。そうですね、モテます。綺麗な表現ではありませんが、ファックもできますよ」
「そ、それを明日から! 明日からお願いするでごわす!」
「ははは、くぼうち様は決断力がおありですね。さすがです。では早速手続きをさせていただきましょう。」
斉藤さんは続けるのでごわした。
「で、いやらしい話になってしまうのですが、授業の見積もりについて…」
「あ、そうでごわす。いくらくらいかかるのでごわすか?」
「そうですね、くぼうち様は大変ウェブサイトについて前向きな考えをお持ちでいらっしゃいます。それに決断力もすばらしい。私どものお客様といたしましてはVIPクラスに位置すると考えております。このようなお客様をお相手出来るということだけで私としては光栄ですので、ここは特別に儲けなどをいっさい省いた価格ということにさせていただきます。テキスト、テープ、CD−ROM、それから当社特製シリアルナンバー入りメンバーズバッヂをセットしたお価格、スバリ五本ということでどうでしょうか!」
斉藤さんはドン! と手のひらを見せたのでごわした。
「ご、五本? 五千円でごわすか?」
斉藤さんはやられたなあとでもいいたげな表情をしながら言ったのでごわす。
「またまたくぼうち様はご冗談がおきつい。ズバリ五十万円でご奉仕いたします!」
「ご、ごじゅうまんえん!? そんな大金とても払えないでごわす!」
「なにを仰いますかくぼうち様」
斉藤さんは、急に真剣な表情になって別のパンフレットを取り出したのでごわす。
「どうしても現金でお支払い出来ない場合にはローンプランもご用意させていただいております。たとえば六年ローンの場合、月々のお支払いはわずか七千円。一日にすればたったの三百円にもなりません。今時コーヒーだって三百円以上いたしますよ? それともくぼうち様は三百円がお支払いになれないほど経済的に困っていらっしゃるとか?」
「そ、そうではないでごわすが…」
「一日三百円で日替わりのように婦女とお遊びできるのだとしたら、これは安いお買い物であるとおもいますがねえ。」
「ふ、婦女…」
「まあ、そのまま部屋に連れ込んで好きなことも出来ますしね。一日たったの三百円で。私もお恥ずかしい話ですが、いろいろやってみたものです。時間に余裕のあった学生の頃に戻りたいと常々思いますよ」
「さ、三百円で出来るのでごわすか! ファックできるのでごわすか!」
「ええ、まあ。私がくぼうち様であれば、飛びついてもおかしくない話ですよ」
「お、お願いするでごわす!!」
こうして新しくモテサイトについて学ぶ日々が始まったのでごわす。
幕内